あらゆる年代を内包する10年代ポップスの決定盤―『ONOMIMONO/パスピエ』のすすめ―
たまりませんなあ。
最近いろいろ聴いていますが、いやーこれは傑作ですよ。久しぶりに誰にでも薦められるアルバムが来たなという感じです。
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どこかで聴いたようなキーボードのイントロから、パッと聴くと相対性理論かと思うようなキャッチーな「トロイメライ」からスタートし、「デモクラシークレット」ではYMO、坂本龍一のような雰囲気を纏わせつつ気持ちの良いポップロックをやり、かと思うと90年代ポップスの王道をまっすぐ歩くようなスローナンバー「プラスティックガール」。この前半3曲でパスピエの持つ、今まで通ってきた音楽の消化力の高さとそれを出す上手さを感じます。
そこから「脳内戦争」で90年代の地下寄りのポップロックを見せたと思ったら、みんなのうたかと思うようなシュガーベイブというか山下達郎・大貫妙子等の70年代ポップスの色濃い「気象予報士の憂鬱」、更に今度は00年代前半の、クラムボン等を連想させるテンポの切り替えが心地いい「トリップ」に繋げ、「最終電車」のJUDY AND MARYの楽曲だと言われても最近の子は気付かないであろう王道ポップスに帰ってきて、ラストのハンバートハンバートや空気公団に近い、郷愁を感じさせる「ただいま」で音の波の余韻を残しながら締めくくる。
上手い。上手いうえに巧い。アルバムの構成力としっかりした演奏力に裏打ちされた楽曲のクオリティに脱帽です。全曲作曲のkey.成田ハネダのいろんな年代を取り込んで混ぜ込んだような、それにVo.大胡田なつきの現代的な歌詞が乗って、これが10年代ポップスかと思わせるパワーがあります。6月にはフルアルバムが出る事も発表されましたし、この機会に一度是非聴いてみてください。
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追記(22:37):公式ページで「トロイメライ」「デモクラシークレット」「プラスティックガール」「脳内戦争」の4曲はPVが公開されているのを更新してから気付きましたので見てみてください。
パスピエ|ワーナーミュージック・ジャパン