メジャーシーンと僕等への挑戦状、『パスピエ/演出家出演』がすごい。

「これがパスピエよ、いいアルバムでしょう」という声が聞こえてきそうなアルバムが届いている。

以前、あらゆる年代を内包する10年代ポップスの決定盤―『ONOMIMONO/パスピエ』のすすめ― - 3LDS -Love,Like,Life!! Diary@SmiLey!- を書いてから2ヶ月、すごく期待していたパスピエの1stフルアルバム「演出家出演」が先日リリースされていた。通して10回程聴いたのでちょっと感想兼レビューをば。

itunes配信の2曲とシングル1枚の曲を含めた全11曲、この3曲共に割と強気な印象を受けていたし、正直なところ「ONOMIMONO」の楽曲・トータルの完成度が素晴らし過ぎただけに、期待しすぎるのも良くないなあとか思っていました。蓋を開けてみるとそんな心配は全くもって必要なかったし、まあとんでもないものを作ったもんだと驚かずにはいられなかったです。

過去にパスピエのkey.成田ハネダはインタビューでこう言っています。

成田 「自然に思いついたことをやっていこう」っていうだけなんです。それをどんどんやっていくうち「〇〇に似ている」とか言われもするだろうけど、そこで固められカテゴライズされ、しかし脱却し、再び思いついたことをやって……という、この先もその繰り返しでいくんだと思います。

ナタリー - [Power Push] パスピエ (1/2)

これはデビューアルバム「わたし開花したわ」の時のインタビューですけど、この思考自体はずっと変わってないと思うんですね。実際リリースされている、今回のアルバムを含めた3枚は全て楽曲的にはイメージが違うし、それは「ONOMIMONO」リリース時のインタビューでも、

成田 とにかく曲を聴いてほしいので、どんどん作品を作りたいですね。今回のアルバムには選りすぐりの8曲が入ってるんですけど、ほかにもたくさん曲があるし、自分としては同じ傾向の曲は書いていないつもりなので。あと、新しい角度から評価されるバンドになりたいっていうのもありますね。

ナタリー - [Power Push] パスピエ「ONOMIMONO」インタビュー (3/4)

と語っている通り。引き出しの数がものすごく多い。それは吸収力なのかなんなのかわかりませんけども、今回のアルバムもこれまでとは違う曲、違う事をやっていると感じます。

わたし開花したわのぶん殴りポップクラシック感、ONOMIMONOの1枚8曲トータルの混ぜ込みポップ充実感、そこから今回、演出家出演のギリギリまで全部詰め込んでるのに抜けのあるポップロック感、というような印象。とにかく攻めてきてる!と感じる曲を詰め込んでパッケージングしてるなあと。というか、聴いたことあるんですよ全体的に。フレーズ自体はどこか使い込まれた感じのものが多い気もします。それでもインパクトの強いまま作りきってしまうところがもう素晴らしい。「△」のアウトロから「ワールドエンド」のイントロで脳汁ドバーですよ。たまらん。

僕の中ではこのアルバムはもうパスピエからの挑戦状なんですよね。「これいいでしょう、聴いたら買うでしょ?」という。

成田 そうですね。バンドを組んだときから、ずっとメジャーデビューしたいと思っていたので。自分に対する自信だけはずっと持ってたんですよ。パスピエで大きなことをやりたいと思っていたし、そのためにはやはりメジャーレーベルがいいな、と。なるべくたくさんの人と関わって、いろんな企画が生まれて、そこから次の作品につながっていく。そういうことがやりたかったんですよね。

大胡田 それはずっと言ってましたね。「趣味で続ける気はない。とにかくメジャーデビューするんだ」って。

成田 まあ、思うようにいかない時期もかなりあったんですけどね。その間は、自分に対する自信と(メジャーレーベルから)声がかからないという焦りとの戦いですよ(笑)。

ナタリー - [Power Push] パスピエ「ONOMIMONO」インタビュー (1/4)

この自信。それを象徴するように、今回は「メジャー仕様のアップデート」をされた曲たちが並んでいると感じます。今までの2枚よりも更にキャッチ―さと、活かすポイントの精度を上がっていて、アルバム単位よりも楽曲単位の攻めの姿勢がうかがえるような。「メジャーデビューしてかき混ぜた感じはやったし、じゃあ次はもっとインパクト強くしようか。好きでしょ?」という成田ハネダのドヤ顔が見えるんですよ。はい、大好物ですよだれ出ます。

大変気分のいい、えらいもん作ってくれたなあというアルバム。一度聴いてみてはいかがでしょうか。itunesにもありますしね。 iTunes - ミュージック - パスピエ「演出家出演」

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